コロナ時代、大阪の夏を乗り切ろうVol.1(生活シーンに合わせてマスクをはずす)
|大阪の夏は暑い!
この100年の間に日本の平均気温は約1℃上昇していますが、大阪の平均気温は約2℃上昇しています。地球温暖化による気温の上昇だけでなく、都市化に伴うヒートアイランド現象が原因で夏は特に、大阪の街は暑くなっています。
|新型コロナウイルス感染予防で高まる熱中症のリスク
今年も暑い夏が予想され、新型コロナウイルス感染防止の3つの基本である①身体的距離の確保し「3密(密集、密接、密閉)」を避ける、②マスクの着用、
③手洗いなど、「新しい生活様式」が求められている中、熱中症のリスクは高まっています。
特に、マスクを着けたことによる「マスク熱中症」には注意が必要だと言われています。そこで、なにわエコスタイル編集部では、実験を通して、マスク熱中症のリスクについて検証してみました。
|マスクをつけた時とはずした時の温度の変化
今回、マスクをつけたことによる温度の変化を2種類の実験を通して測りました。
(実験協力:大阪市立環境科学研究センター)
まず、外から見た放射温度をサーモカメラで測り比べました。左がマスクをつけない状態、右がマスクをつけた状態です。
マスクをつけて息を吐くと、日射にあたって熱くなっているうえに、吐いた息の温度も加わって、放射温度が6℃以上も上がっていることがわかります。
《実験条件》 測定日:2020/6/24 時間:12:00~12:30 天気:晴れ 風速:約2m/s WBGT:26.9℃ 気温:31.1℃ RH:43% [時刻12:06] 場所:大阪市立環境科学研究センター屋上(9F) 条件:マスク着用前とマスクを着用後に直射日光の下で1分間ずつ軽い運動をした後に測定 |
次に、どのくらい熱がこもって暑く感じるのか、熱電対を使って頬の表面温度とマスクの中の空気の温度を素材ごとに測りました。
実験で使った4種類のマスク
※軽い運動をせず、上記と同じ実験条件
この簡単な実験では、❶ウレタン素材のマスクや❹厚手の布マスクは、頬の表面(皮膚)、マスクの中ともに著しく温度が上昇、息を吐いたときに一気に上がりました。頬が熱いということは、マスクをつけることによって、放熱が妨げられ、吐いた息の熱がマスクの中にこもっているのです。この日の気温は31.1℃でしたが、今後気温の上昇とともにさらにマスク内の温度が上がる可能性があります。
どの種類のマスクをつけても内側の温度が上がることから、熱中症予防のために、生活シーンに合わせて、マスクを脱着する必要がありそうです。
|マスクをはずす生活シーン
厚生労働省では、「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめて掲載しています。その中で、シーンに応じてマスクをはずすこと、水分・塩分補給を呼びかけています。
WBGTの数値が28℃(WBGT)を超えると、厳重警戒レベルとなり、身体への負担がふえます。マスクをはずして、3密(密集・密接・密閉)を避け涼しい場所に避難しましょう。
人が感じる暑さは、気温だけではありません。都会では、強い日差しを受けたビルやコンクリートの表面から放射される赤外線などの「輻射熱」に注意が必要です。
人の身体に影響を与える熱の種類
< シーン2 > 自宅にいるとき
~夜間でも室内は輻射熱を受けている~
外だけでなく、建物の中でも、日中の日射による熱をためているので、夜になっても注意が必要です。

気象庁が発表している、「日最低気温25℃を下回らなかった」熱帯夜日数は、2005年以降は横ばいが続いていますが、みなさんの体感は、熱くて寝苦しい夜が増えていると思うことはないでしょうか。

ここで、気象庁の発表とは別に、「日最低気温28℃を下回らなかった」日数(ここでは「酷暑の夜」と定義します)をグラフにしてみると、増加傾向にあることがわかります。
(情報提供:大阪市立環境科学研究センター)
※大阪管区気象台のデータ(日最低気温の最高値)より作成
熱中症を発症する場所の約4割が自宅にいるときです。自宅では換気を確保しつつマスクをはずし、エアコンの温度や湿度設定を上手に使いましょう。特にバスルームやキッチン、トイレなど湿度が高くなる場所では換気扇をつけましょう。
< シーン3 > 屋外での運動時
~屋外で人と十分な距離(2メートル以上)を確保~

暑さに備えた体作りも熱中症対策には重要です。適度な運動で血流を増やすことが熱中症予防にもつながります。朝夕の散歩や軽いランニングなど、1人屋外で運動する時、周りの人と2メートル以上距離をとれる環境では、無理をせずマスクを外しましょう。
< シーン4 > 重労働やトレーニング
~負荷のかかる作業、運動をするときは休憩を~

マスクを着けているときは、負荷のかかる作業や運動を避けましょう。重労働の仕事やトレーニングなどをするときは、マスクをはずし、水分・塩分にあわせて、少量の糖分(ブドウ糖など)もとって、休憩時間をとりましょう。
暑さの感じ方は、人によって異なります。自分の体調の変化に気をつけ、新型コロナウイルス感染予防対策をしながら、シーンに合わせたマスクの脱着が熱中症予防のキーワードになります。
適度な運動、疲れた時は無理せず休息をとるなど、日ごろからの体調管理もしながら、暑い大阪の夏を乗り切りましょう!